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緊張感と解放感のコンボ、コント師『バイきんぐ』|芸風と感想


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みなさまお気づきだろうか?

 

『バイきんぐ』のコントは、一見小峠さんの刺激的な、ことばのツッコミによりコントが展開しているように感じるが、実際の流れは西村さんのボケが醸し出す閉塞感を、小峠さんが、観客に代わり打破していく内容であることを。

 

コントの最中は両者ともに気合いが入っており、ツッコミとボケの激しい対立がうまれ、それが、観客に強い刺激を与え、刺激の行き着く先がカタルシスになるという特徴がある。

 

両者のかけひきの独自性は、当初みたころから、ハッキリいって、過去に類似したものをみたことがないほどの異彩を放っており、斬新さを感じたものだ。

 

こんかいはそんな『バイきんぐ』をご紹介したい。

 

 

バイきんぐのプロフィール

 

結成/1996年

所属事務所/ソニー・ミュージックアーティスツ

スタイル/コント

賞/キングオブコント2012年優勝

 

ツッコミ担当:小峠英二(ことうげえいじ)

誕生日/1976年6月6日生まれ

出身地/福岡県

血液型/O型

身長/170Cm

特技/ギター

 

ボケ担当:西村瑞樹(にしむらみずき)

誕生日/1977年4月23日生まれ

血液型/O型

身長/171Cm

趣味/映画、テレビゲーム

 

[同期]

ヤナギブソン

 

バイきんぐ考察

 

バイきんぐがキングオブコントで残した名言、「なんて日だ!」や「なんていえばいい!」はインパクトが強く、現在でもテレビで耳にすることがある。

 

ツッコミ担当の小峠英二さんの、ことば選びにおけるキーワード分析は、よく練られており、コントの流れが成立するために絶対不可欠なものだ。

 

コント事態は、二人の持ち味が合わさり、全体として「シュール」なものとなっている。

 

よくあるのが、コント開始直後は、まるで、二人はきょう初めて出会ったの?という風なちぐはぐさを演出し、西村さんの一人芝居をみている感じから、徐々に小峠さんが、西村さんの世界観に足を踏みいれていくという内容だ。

 

「自動車教習所」のように、序盤の小峠さんは絡みの勢いを抑えていて、西村さんが、力強く、しゃべる。(ちなみに二人の出会いは自動車教習所)

 

進行するにつれて、ネタの構成として西村さんの、一人よがりな独自の世界観があらわになっていき、それに耐えかねた小峠さんがするどいツッコミをみせはじめることにより、『バイきんぐ』のコントがはじまる。

 

西村さん「先生俺っすよ、俺、覚えてないですか?」

小峠さん「覚えてないね~」

西村さん「えーまじっすか、俺ですよ俺!」

小峠さん「覚えてないよ!ここ自動車教習所だよ!」

 

『バイきんぐ』が得意とするのは、異質な世界観作り、といえば、安っぽい表現になるが、西村さんの一人よがりな世界観を観客に恐いと感じさせ、それを小峠さんが絶妙に処理するスタイルだ。

 

「自動車教習所」のつづきでは、教習所に、相当の愛着をみせる生徒役の西村さんが、教官役の小峠さんに「俺、免許とったら石焼き芋の運転手になりたいんすよね」

 

西村さん「いしや~きいも~や、いも!」

小峠さん「!………なんていえばいいッ!」

 

このスタイルは、それ以降もつづいていき、バイきんぐのコントを成立させるもう一つのキーワードが、西村さんの「独自の思いこみ」である。

 

西村さんはたびたびホラー映画に登場するような、異質なキャラクターを演じ、独自の思いこみが加速していき、観客が、怖いと感じる部分を小峠さんが、シュールな笑いに変えていくという特徴がつづいている。

 

小峠さんのツッコミにより、コント全体に漂う恐さがシュールさとなり、また異質でいて、どこか憎めない、キャラクターの西村さんのボケがつづくうちに、一種のコミカルさも生まれ、「恐さ×シュール×コミカル」な内容が生まれる。(もちろんすべての作品に関してではないが)

 

 

バイきんぐ考察2

 

『バイきんぐ』の魅力をもうひとつあげるとすると、テクニカルな部分だ。

 

コントのさなか、恐い世界観を披露する西村さんに対して、小峠さんがあえて、それに゛楽しんでノル゛というのも『バイきんぐ』のコントの特徴だ。

 

コンビニの店長をしている設定の小峠さんの店に、バイト面接にきた西村さんが、愚直な正直者の設定でやはり、やらかすのだけど、そんななかで志望動機が「楽そうで時給がいいから」という内容に触れ、小峠さんが、それを気にいってしまう。

 

「楽そうで時給がいい?ふつうは、そう書くわけにはいかないから、接客が好きでこの仕事が向いてるとおもいましたとか、おもってもないことを書くものだけどね。」

 

「それに比べて君はなんて正直なんだ」

 

西村さん「光栄です」

 

という感じの流れで、西村さんの世界観に、小峠さんが乗っかっていく、ツッコミは斬新だ。

 

確かに、ボケにツッコミがノルというスタイルは、ほかの漫才師もコント師もやることがあるが、コントの中盤からボケに乗っかり、昇り調子のまま、終わりを迎えるコントをやるコント師はバイきんぐ以外にしらない。

 

奇怪な世界観のなか、二人ではしゃぎあっている姿は微笑ましい。

 

書いてきたように、バイきんぐの笑いは基本シュールであるものの、構成のなかに、゛愛嬌゛の要素を盛り込んでおり、そのため、小峠さんのするどいツッコミの威力が上手に抑えられ、観客がついてくる仕組みができあがっている。

 

『バイきんぐ』における、西村さんの役割が、独自の世界観を拡大させつづけることならば、小峠さんは、観客とその世界観を結びつける役目を担っているのだ。

 

観客と、コントの軸が繋がっているからこそ、ボケに対する乗っかりという芸当を可能としている。

 

見慣れてくると、西村さんの強めなリアクションも、違和感がなくなってきて、ファンであれば、「よ!待ってました」的な展開に映るだろう。

 

シュールでいて、どこか愛嬌のある『バイきんぐ』のコントはやはり面白い。

 

 

終わりに

 

ふりかえれば『バイきんぐ』のコントをはじめてみたきっかけが、゛キングオブコント゛であり、伊集院光さんが、彼らを評価していることばを贈っていたのが印象的だった。

 

「バイきんぐは実力はあるので…」

 

それが、ほんとうだったがゆえの゛キングオブコント2012゛年優勝だった。

 

彼らのコントをもっとみたいとおもい、その後、ほかの作品も、いくつも拝見し、どれも楽しんでみることができた。

 

当初は、小峠さんのツッコミの印象が強かったものの、いくつものコントのなかに、観客を引き込む、共通性がうまれやすいコンセプトを盛り込んでおり、楽しめた。

 

彼らの世界観と、勢いは、ダウンすることなく、むしろ年々アップしていってる部分は驚かされる。

 

西村さんの、キャラクターも鉄板となり、みていて安心感を覚える。

 

そんな彼らはバラエティー番組に出演するようになっても、新しいコントを展開していく姿は『サンドウィッチマン』どうように、好印象だ。

 

これからも、持ち味を活かした新しいコントをつくりつづけてほしいとおもう。

 

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