原石から大御所まで

芸人について書いていきたいとおもいます。

貫禄の若手漫才師『霜降り明星』|超一流へのカウントダウン!|芸風と感想


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みなさまお気づきだろうか?

 

霜降り明星の漫才は、非常に上品で、観客との距離をどこまでも計算にいれた、年齢からは想像できないほどの一流漫才をしていることに。

 

「うまい」彼らの漫才を初めてみて、月並みに感じたことが、いくつもの作品をみるごとに、若さにマッチしないほどの貫禄を覚えるようになった。

 

つかみも、ボケも、ツッコミのタイミングもばっちりで、彼らの漫才は自然な流れで観客を引き込むという超ベテランでも難しいことをやってのけている。

 

こんかいはそんな霜降り明星について書いていきたい。

 

目次

 

おすすめしたい人

 

・本格派漫才がみたい人

・これからまだまだのびる予想がつく漫才師を応援したい人

・大声でツッコんだり、頭をはたいたりしないスタイルが好きな人

・物語がシンプルな展開が好きな人

 

霜降り明星のプロフィール

 

結成/2013年

所属事務所/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

スタイル/漫才

賞/第38回ABCお笑いグランプリ優勝

第7回ytv漫才新人賞受賞

M1グランプリ2018年優勝

第33回ものまねグランプリ優勝

 

ツッコミ担当:粗品(そしな)

 

高等学校のとき、すでにお笑いの道に興味をもち、同級生とコンビを組み、ハイスクール漫才にも出場した。同志社大学一年のとき、よしもとでオーディションを受け、ピン芸人としてデビュー後、「霜降り明星」を結成。粗品とは、つまらぬものですが、とかけており、コンビ結成後も粗品でとおしている。

 

出身地/大阪府

誕生日/1993年1月7日生まれ

身長/180Cm

血液型/O型

趣味/邦楽ロック、アニソン

 

ボケ担当:せいや

 

小学校からサッカー部をしていたが、中学校へ入学してからしだいに、同級生からいやがらせを受けるようになったが、せいやは文化祭で自作の「お笑い」を披露し、成功を納めたのち、゛お笑いは身を助ける゛と実感し、お笑いの道へ。

 

出身地/大阪府

誕生日/1992年9月13日

身長/163Cm

血液型/A型

特徴/ヘッドスライディング、リフティング

 

[同期]

コロコロチキチキペッパーズ

 

霜降り明星考察

 

サンドウィッチマン以外で、最初から最後まで、なんの嫌みもなく漫才をみれるのは、個人的に現状霜降り明星だけだ。

 

若手お笑いコンビとしては、個人的に実力派漫才師「ミキ」の印象が強いのだけど、はじめて2018年M1で霜降り明星のネタをみたとき、独特のテンポに、奇抜さだけでなく、その実力を感じることができた。

 

して、本人たちの年齢をしったときには驚いたものだ。

 

年齢と貫禄のギャップだ。

 

霜降り明星のネタは関西でありながら、関西チックでない、雰囲気にどこかアクの少なさを感じさせる。また表向き強引さや、勢いにまかせたことをほとんどやらない。優れた構成力がある証拠である。

 

観客の誰もが感情移入しやすい状況をつくり、ある意味淡々と漫才をしていくあたりに、大御所のような貫禄があるのだ。たくさんの若手漫才師のなかで、いや、漫才師としての実力は底知れない。

 

アンパンマンのネタがある。

 

ジャムおじさんアンパンマンの顔を届けにいくのだが、途中介入してきたカレーパンマンは、関西弁でツッコミが強力だ。

 

つまり辛口のツッコミである。

 

食パンマンに限っては、顔のいれかえは、1斤からだ!スライスされてない。

 

など、子供から大人、誰がみても理解でき、誰もが共感できる運びとなっている。 ネタの構成に客観的視野が存在し、観客に対する配慮が素晴らしい。彼らのすごいところは、一見奇をてらうようなボケ方をしながら、その根底が客観性に基づく部分だ。

 

校歌を斉唱するネタがある。

 

サッポロバージョン、桜島バージョン、いろんなシチュエーションの校歌を歌ったあと、

せいやさん「十円玉は茶色い~」

 

粗品さん「なんやねんそれ」

 

せいやさん「100円玉はよく使う~、五円玉は穴があいている~1円玉は小さい~」

 

粗品さん「その硬貨かい!」

とツッコミ(そのときのせいやさんの頭に手を当てるだけの粗品さんの優しいツッコミが個人的にすごく好き)

 

最高だ。普遍的に誰もが共感できるうえに、以外とツッコミどころが予想できない。それ以前に歌った校歌から、観客はミスリードされてしまい「学校の校歌」という思い込みにとらわれているため、粗品さんのツッコミでハッとする。

 

 

霜降り明星考察2

 

優しげで柔らかいイメージ、霜降り明星は佇まいからして、どこか観客に安心感を与える部分がある。きっとその地のキャラクターを応援しているファンは多いだろう。

 

粗品さんのツッコミは、ことばが柔らかい。多くの場合、事実や矛盾を指摘するにとどまり、せいやさん自身へのきついことばがないのが好印象。

 

またせいやさん自身も、観客に伝わることを意識したボケかたのラインを把握しているためか、観客に無理をしてる印象を与えない。

 

そして、題材がよいとくれば、無敵ではなかろうか。

 

観客はシビアだ。ネタの表面構成だけではなく作風や雰囲気をとても大切にしており、そこから無意識に伝わる人間性を重要視しているのはいうまでもない。

 

霜降り明星のネタは、これまでの一流漫才師に対するオマージュを感じる部分があり、美点となる箇所を手本としてきたのでは?と勝手に考える。ボクは、中川家が好きだ。ナイツが好きだ。サンドウィッチマンが好きだ。そして、霜降り明星を好きになった。

 

ネタの構成から、お互いのやりとりまで、細やかな配慮が行き届いており、自然と応援してえなと感じた。一時的に面白いかどうかだけではなく、人間性が備わってこそ、コンビに対する愛着がわくのだ。

 

頑固ラーメン店主のような、味で勝負!というスタイルではなく、店内の雰囲気が大切だよと、実力もそうだけど、まず、観客に楽しんでほしいという、気持ちが伝わってくる。

 

彼らのファンはこれからも増えるはずだし、益々人気もでて、必ず大御所漫才師となるはずだ。

 

芸風では強烈なツッコミや、過剰なボケかたがないことは、むしろ彼らの強みといえるだろう。インパクトが強く、中身が薄い芸風とは反対の存在だ。

 

 

終わりに

 

個人的に、天才ということばはなるべく使いたくないが、霜降り明星は天才である。格闘技でいう心・技・体のように、ネタの完成度・人格・才能とすべて兼ね備えている。

 

ふつう漫才にはどうしても、ネタを過剰にしすぎる要素があるのだけど、彼らは、そういった部分のさじ加減が絶妙で、数学的な流れを感じる。

 

天才霜降り明星のネタをこれからも楽しみにしたい。

 

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若手一流漫才師『ミキ』|芸風と感想

時代とともに、ピン芸人『小島よしお』|芸風と感想


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みなさまお気づきだろうか?

 

『小島よしお』の芸が流行った時期というのが、ちょうど、奇抜さを纏う芸と、実力派漫才の二つの道の分かれ道にさしかかっていたことに。

 

時代的にも2000年代初頭は、就職氷河期にあたる時代であった。

 

氷川きよしの「やだねったらやだね」という曲がリリースされたり、とにかく暗い背景を払拭するようなふっきれたような、気風が、全国的に流れていたのかもしれない。

 

この時期、瞬間的なインパクトを残して、テレビから姿を消していく、芸人も多い時期であった。

 

笑いは昭和の正統派漫才と、比較するような類いの芸風ではなく、さまざまなジャンルのまったく新しく、すごく目立つ路線にシフトしていくなかで、その終盤を飾った人物の一人が『小島よしお』だろう。

 

こんかいは、一世を風靡した『小島よしお』をご紹介したい。

 

目次

 

おすすめしたい人

・瞬間的な笑いが好きな人

・ギャグ要素がある笑いが好きな人

・シンプルな内容が好きな人

・ニュアンスでの笑いに敏感な人

 

 

小島よしおのプロフィール

沖縄県生まれの小島よしおさんは、幼少期は沖縄、東京、千葉と引っ越しを繰り返したようだが、前向きな性格で、小学校のころから人を笑わせたり、驚かせることが好きだった。大学時代本格的に芸の道を模索し、当時オーディションをうけたりしていた。

活動時期/2001年~

所属事務所/サンミュージックプロダクション

スタイル/ギャグ

 

ピン芸人:小島よしお(こじまよしお)

出身地/沖縄県

誕生日/1980年11年16日生まれ

身長/178Cm

血液型/O型

趣味/サイクリング、筋トレ

賞/第5回お笑いホープ大賞激励賞

ユーキャン新語・流行語大賞2007年トップ10

R-1グランプリ2016年順優勝

 

[同期]

ナイツ

 

小島よしおの考察

 

とにかく当時、海パンで芸をするというスタイルがひとびとに強い印象を与え、お茶の間を賑わせたのが懐かしい。

 

なにもかも振り切ったような芸風こそが、世相を反映していたのかもしれない。

 

これからなにかはじまる予感を感じさせる音楽とともに、海パンの小島よしおさんが現れ、「うぃぃぃ~」と肩をくねらせて、特徴的な動きをする。

 

観客は、珍しいものをみているような、第三者的感覚でそれをみているのだろう。

 

そこからの、じぶんの身近なエピソード、「地元が合併されそうだ、でもそんなの関係ねえ!」

「そんなの関係ねえ!」

「そんなの関係ねえ!」

勢いをつけて、腕を振りながら、

「はい、オパピー」 と、からだは片足だけ地につけた体制で、三角立ちで全身を伸ばしきり、目は半分白目。

 

ちがうバージョン、レッドカーペットで、ネタ最中、尺がきれて、流されながら「流されてるけどそんなの関係ねえ!そんなの関係ねえ」と腕を振りつづけながら、くいさがりつつ奥へ消えていった。

 

そう、小島さんにとって、世を賑わす出来事や、個人的に困ったことなど、大した問題じゃねえ!と割りきることが、みているひとびとの心境とシンクロしたのだろう。

 

何があっても、大したことじゃないんだよというような励ましを含んだネタのメッセージが伝わってくる。

 

余談になるけれど、小島さんが登場して、似たような時期には、テレビでよく、印象的なピン芸人が登場し、レイザーラモンHGさん、ヒロシさん、ゴージャス、ムーディー勝山さんなどの姿をみた。

 

ネタの内容というより、一度みるとその存在感が忘れられないようなキャラクター事態がネタを成立させていたといえたし、観客の多くもその奇抜さを楽しんでいたようにおもう

 

当時、゛爆笑レッドカーペット゛でも、彼らのような観客の心境と時代を反映させるような芸人たちの色一色であった。

 

ネタの構成より、コンセプト重視、そして、独自のノリとテンポと、音楽に乗ってネタを披露するスタイルだ。

 

彼らの派手な存在は、それ事態が世に対してのチャレンジだ。

 

そして、それらの後に、実力派漫才師、「タカアンドトシ」などが大塔してきた。

 

そのときは、新しい漫才ブームの風を感じた。

 

歴史には流れが存在するため、景気の低迷、就職氷河期が終わると、ときとともに、観客のみるめも変わり、ゆっくり、じっくり、漫才と向き合うようになったのではないだろうか?

 

現在、王道漫才コンビが、テレビでたくさんネタを披露する一方で、われわれ世代は、当時の彼らのことが忘れられない。

 

時代背景が暗い雰囲気を醸し出すとき、小島さんの、「はい!オパピー」のフレーズを思い出すのだ。

 

 

終わりに

 

当時、『小島よしお』さんに対する、印象は周囲でも、千差万別であり、芸風に対する異論や、ネタに対する評価は真っ二つだった。

 

だが一様に小島さんのネタははなしの対象になっていたのだから、それほどの影響力があったのだ。

 

現在では、頻繁にテレビに登場しなくなった小島さん世代のひとたちもいるけれど、そうしたネタの復活祭などで、姿をみたときは、懐かしい気持ちになる。

 

果敢に時代にチャレンジしつづけたそのスタイルは、時代が変わり、これからも再びブームが訪れる可能性もあるだろう。

 

そのときは、また独自のノリとテンポをみせてほしい。

 

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電撃漫才師、『カミナリ』|芸風と感想

 

チグハグなやりとりが面白い、女性漫才コンビ『尼神インター』|芸風と感想

 

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チグハグなやりとりが面白い、女性漫才コンビ『尼神インター』|芸風と感想




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みなさまお気きだろうか?

 

『尼神インター』のネタは、ちょいウザ系女子と、ちょい悪系男子の会話形式というコミカルな展開をみせるのだが、その裏には、女性ならではの繊細なドラマが存在することに。

 

コンビの二人は女性であり、片方が男性役、片方が女性役を演じている。

 

表面的には、関西独自のノリが目立つため、忘れがちになりそうなのが、彼女たちの、女子の複雑な心情を描いたミュージカル的、恋愛ドラマ的なストーリーを演じている部分だ。

 

こんかいは、女性漫才コンビ『尼神インター』をご紹介したい。

 

目次

 

 

おすすめしたい人

 

・実力派女性漫才コンビに興味がある人

・コミカルで柔らかい芸風が好きな人

・後味のよい内容が好きな人

・女性心理を反映したネタに興味がある人

 

 

尼神インターのプロフィール

 

結成/2007年

所属事務所/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

スタイル/漫才、コント

 

ボケ担当:狩野誠子(かのうせいこ)

高等学校時代、チュートリアルの漫才をみてお笑いの世界に興味をもつ。これまで、コンビを組み、解散したりを繰り返したのちに、現在の相方、鹿島渚と見事マッチングを果たす。

出身地/兵庫県

誕生日/1988年12月4日

身長/162Cm

血液型/O型

趣味/恋愛ドラマを観る

 

ツッコミ担当:鹿島渚(かしまなぎさ)

高等学校を卒業するころの進路は、お笑いの道へはいること以外、考えられなかったほどの入れこみようで、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに入るために、大工として働いた過去をもつ。

出身地/兵庫県

誕生日/1984年8月6日生まれ

身長/157Cm

血液型/O型

趣味、特技/大工あるある

 

[同期]

ピスタチオ

 

尼神インターの考察

 

結成のきっかけは、鹿島さんのほうから、狩野さんに「一緒に組もうや」と声をかけたことがきっかけで、鹿島さんのちょい悪系のキャラクターゆえに、狩野さんは二つ返事でOKしたという、面白いエピソードがある。

 

そのエピソードを象徴するかのように、漫才ネタもお互いの個性が際立っていてそうとう、異色性があるのだ。

 

桃太郎ネタでは、おばあさん役演じる狩野さんが、かなりはっちゃけた、いまどき女子要素満載のおばあさんとして登場。

 

柴刈りから帰宅したおじいさん役の鹿島さんの帰りが遅いことに着目して、「柴刈りへいってたんだよ」

という鹿島さんに、「ぎゅってしてくれたら信じる」

というノリをみせる。

 

そんな狩野さんに対して、ツッコミ担当の鹿島さんは、いつも、ブレない、ちょい悪男性役を演じ、シュールにツッコミをかける。

 

桃太郎のさいごは、「桃太郎こんなんちゃうねん」と狩野さんをはたいて、しめくくる。

 

ちなみに、尼神インターのネタの特徴であるのだが相方をはたくのは、一番最後であり、非常にインパクトのある締めくくりだ。

 

つねづねうまい女性漫才師が出現してくるのを実感していたなか、尼神インターをはじめてみたときは、そのネタのクォリティーの高さに驚いた。

 

ネタを構成するコミカルと、アクと、ロマンチックが見事に融合しており、ざっくばらんなスタイルにみえて、実はそれらが、いきつく部分は、女性ならではの繊細な心情なのである。

 

ああ、こういう、ちょっといたいたしい男女の会話のやりとりあるよな~っと、唸るとどうじに、その風刺を行った、女性目線からの観察力に驚かされる。

 

正確にいうと女性が男性目線に立って、ちょいウザ女子にフォーカスをあてて、笑いをさそっているという部分がすごいのだ。

 

その凄さの片鱗を形つくっているのが、狩野さんのキャラクターつくりの綿密さと、鹿島さんの言語センスである。

 

鹿島さんは、ネタの進行のために、ついいれがちとなる、ネタを説明することばをあまり使わない。

 

これはすごいことで、彼女は女性でありながら、どこまでもちょい悪男性役に徹して、完成度の高い「キャラことば」のインパクトにより、ネタを展開させることができる。(ちなみに女性役の場合でもブレないちょい悪女子役)

 

それでもって「ちょい悪男性が放つキャラことば」と「完成度の高いちょいウザ系女子」のやりとりが、女性ならではの繊細さとマッチングして、一種のドラマをみている気分にさせられるというミラクルをみせるのだ。

 

そこに、シュールさと、甘酸っぱさが入り交じったチグハグな笑いが生まれる。

 

それが、うえで触れたお笑いにおける異色性だ。

 

彼女たちのネタの構成力や、テンポなどのレベルは高く、両極端なキャラクターの持ち味が加わって、何度もおなじネタにみいってしまう。

 

 

終わりに

 

昭和の時代は、女性芸人は現在よりもかなり少なく、テレビでみる機会も少なかったが、ちかごろは、多くの女性芸人をみかけるようになった。

 

なかには、尼神インターのように、客観的な観察力をもった芸人もおり、純粋におもしろく、ちかごろは、彼女たちの漫才をみるためにテレビをみることもある。

 

客観性は、逆に男性芸人が女性役として女性側目線にたった場合も必須要素で、ポイントを絞る視野ともいえるだろう。

 

彼女たちの、女性側から男性目線にたつとうわざは、高度な漫才をやるために必要な、観察力と才能のたまものといえる。

 

これからも、尼神インターのネタをもっとたくさんみてみたいとおもう。

 

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電撃漫才師、『カミナリ』|芸風と感想

電撃漫才師、『カミナリ』|芸風と感想


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みなさまお気づきだろうか?

 

『カミナリ』の漫才といえば、ドキッとしてしまうほどの強烈なツッコミが目立つけれど、ボケとツッコミが一緒に楽しむ仕組みになっていることを。

 

まず初見では、その芸風に目をうばわれがちとなるのだが、いくつものネタをみてみていくうちに、幼なじみならではの、お互いの信頼関係が充実していなければ、なしえない芸当といえることに気づかされる。

 

とはいえ、何度みてもやはりツッコミのパワーには驚きがあり、インパクトの強さはまさにカミナリだ。

 

こんかいはそんな『カミナリ』の魅力を語ってみたい。

 

 

カミナリのプロフィール

 

結成/2011年

事務所/グレープカンパニー

スタイル/漫才、コント

 

ボケ担当:竹内まなぶ(たけうちまなぶ)

出身地/茨城県

誕生日/1988年9月16日生まれ

身長/175Cm

血液型/O型

特技/利きツッコミ(後ろから複数の人間にツッコミされても、相方のツッコミがわかる)

 

ツッコミ担当:石田たくみ

出身地/茨城県

誕生日/1988年7月6日生まれ

身長/159Cm

血液型/B型

特技/バスケットボール

 

[同期]

平野ノラ

 

カミナリの考察

 

カミナリの漫才、コントには独特のテンポがある。

 

両者が互いの名前を呼びあい、竹内さんのほうからはなしの議題があがって、例えば、最強の動物ネタだと、二人が動物界最強は誰かを議論する。

 

「おれはクマだな」

「サメだよ」

と、ほのぼのした流れで進行するのだが、突然、竹内さんに対して石田さんのカミナリ級の強烈なツッコミが入る。(方言を利かせた)

 

「なんでフィールドが海になってんだ!」

 

はじめてカミナリのネタをみた人はビックリしてしまうかもしれない。

 

このように、一見日常的で自然な会話から、ひねりを利かせたツッコミがはいるのが、カミナリの持ち味だ。

 

ネタ事態は、強烈なツッコミからは想像できないような、まるで友達同士が会話を楽しんでいるような内容という、バランス感覚が新鮮なコンビだ。

 

面白いのは、ボケ担当の竹内さんのいいぶんがもっともな部分だ。

 

先ほどの「サメ」「クマ」の例でも、もっともな部分にツッコミが入り、「なんでフィールドが海になってんだ!」といわれてみれば、なるほど、面白い解釈だなと、いわれてはじめて、絶妙な笑いに発展していく。

 

強烈なインパクトと柔らかい雰囲気をあわせ持つという、不思議な芸風だ。

 

柔らかな雰囲気の一旦を担っているのが、ボケ役の竹内さんであり、強烈なツッコミをもらったあとも、飄々として、あくまでフラットに会話をつづけていく姿が、ツッコミのインパクトを絶妙に中和している。

 

ちなみに竹内さんの特徴に「利きツッコミ」とあるように、後ろから複数人間のツッコミをもらって、石田さんのツッコミがわかるというのだから、これはほのぼのする。

 

彼らの雰囲気がどことなく、ダウンタウンと似ている気がしてならない。

 

漫才というものが、必ずしもボケ担当が、ツッコまれる要素を醸し出しつつ、ツッコミ担当が物事の正統性を指摘するだけのものではないと、カミナリの芸風は証明しているといえよう。

 

かつてのダウンタウンの漫才も、従来の漫才の型を破ってきて、お笑いという枠組みをひろげることに成功している。

 

カミナリもダウンタウンも、とにかく、キャラクターのちからが強い。

 

カミナリの石田さんの、個性を全面的に押し出すスタイルは、評価は賛否両論だが、徹頭徹尾゛そこまで゛やるのか!という意気込みは、評価されるべきだろう。

 

彼らの鉄板ネタで、濁音しりとりというネタでは、石田さんのキャラクターが特に光っている。

 

竹内さんの提案で濁音のみのしりとりがはじまるのだが、なかなか、濁音のみのフレーズがでないなか、竹内さんは日常で耳にしないようなことばをたびたびつかい、納得いかない石田さんに、それが魚の部位であると説明する。

 

魚の目の上、魚の目の下だと、なら、目はなんというんだといわれると、竹内さんは「目だよ」と答える。

 

そこに、石田さんの

「実家が魚屋だからって、魚でうそついてんじゃねえ!」

と激しいツッコミがはいる。

 

実は竹内さんのいったフレーズをネットで検索したら、魚の部位ではないが、魚に関係するフレーズとして存在していた。

 

その真意がさだかでないにかかわらず、ツッコミを入れる石田さんをみていると、どことなく微笑ましい。

 

カミナリの漫才をみるときは、キャラクターの個性と、コンセプトの変化球を存分に楽しんでほしい。

 

 

終わりに

 

現在は、カミナリのような、強烈な芸風をやるコンビは少なくなってきたため、強いインパクトがさらに強くなっている。

 

以前は、ヤスキヨや、ダウンタウンなど、みずからどんどんまえにいく、漫才が多く存在する時代があった。

 

柔らかなスタイルを好むか、強烈なスタイルを好むかは観客によってそれぞれだが、漫才の祭典などで柔らかい漫才がつづいたあとは、キャラクターが強い漫才がみたくなる。

 

カミナリにはこれからも、独自の世界観をつきすすんでほしい。

 

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奇才コント師『チョコレートプラネット』の世界|芸風と感想

 

笑いのニューウェーブ、漫才師『和牛』|芸風と感想

奇才コント師『チョコレートプラネット』の世界|芸風と感想


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みなさまお気づきだろうか?

 

『チョコレートプラネット』の漫才やコントの最大の持ち味は「ジレンマ」であり、観客は常に゛暖簾に腕押し゛状態で見いってしまうことに。

 

片方の善意が、まったく悪意のない主観によって、さえぎられ、押しても、ついても、本来物事を進展させたい方向に向かわせることができないというジレンマだ。

 

彼らの笑いには、他の漫才にはない、切なさと、やるせなさと、可笑しさが同時におこることが特徴であり、非常に斬新なコンセプトである。

 

そこには、一種の怖さが存在するといえるのかもしれない。

 

 

チョコレートプラネットのプロフィール

 

結成/2006年

所属事務所/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

スタイル/コント

賞/2008年キングオブコント決勝進出

2010年ブラマヨ杯デコのみ焼きグランプリ優勝(長田)

2014年キングオブコント準優勝

2015年第36回ABCお笑いグランプリ5位

2015年NHK新人お笑い大賞

2018年キングオブコント第3位

 

ツッコミ担当:長田庄平(おさだしょうへい)

誕生日/1980年1月28日生まれ

出身地/京都府

身長/168Cm

血液型/A型

趣味/ジョギング、陶芸、モトクロス

 

ボケ担当:松尾駿(まつおしゅん)

誕生日/1982年8月18日生まれ

出身地/神奈川県

身長/169Cm

血液型/O型

趣味/バスケットボール、スノーボード

 

[同期]

ハライチ

チョコレートプラネットの考察

 

突飛なはなしで申し訳ないが、『チョコレートプラネット』の笑いを小説で例えると、フランツカフカの゛変身゛である。

 

それがコントの特徴であり、含まれる哲学的なメッセージ性にしっくりくる。

 

『チョコレートプラネット』のコントに、お腹が空いた松尾少年が、親切な長田さんにより、無料でレストランで食事をふるまわれるというものがある。

 

松尾少年にはまず、栗ご飯がふるまわれる。

 

はじめは「おいしいや!」と喜ぶ松尾少年に、つづいて◯◯風栗ご飯がふるまわれる。

 

そのご延々と異なる名前の◯◯風栗ご飯が延々とふるまわれるのであるが、みていてこれは「親切」なのか「わざと」なのかという印象をおぼえたのが懐かしい。

 

ご飯が食べれてよかったねと感じると同時に、みていてすごく切ない。

 

それでいて、可笑しい。

 

チョコレートプラネットのコントにはこうした要素が頻繁に登場し、この場合のような、本来、「お腹が空いた少年に食事を提供する」という趣旨に変化がおこるのが特徴。

 

正直をいうと、実はこんかい、チョコレートプラネットの記事を書くにあたって、少し躊躇してしまった。

 

なぜなら、チョコレートプラネットの笑いを形容するのは実に難しく、ボクにはチョコレートプラネットを表現できるだけの文才と、表現力がないものとおもわれたからだ。

 

だが、この斬新な笑いをどうしても表現したい気持ちが勝ってしまった。

 

チョコレートプラネットの笑いはそれだけ、解釈を断定するのが難しい。

 

笑いとは、一般常識とされるものが、根底から覆る布石を打つことともいえる。

 

チョコレートプラネットの笑いには、その布石が、絶妙に配置されているのだ。

 

手応えを感じそうになれば、肩すかしをくらい、事態が進展を迎えそうになれば、停滞をくらうという、どこか、西洋の喜劇をみている風情がある。

 

それでいて、これでもかこれでもかと、つぎつぎと、新しい状況が高速展開しつづけるため、両者のちぐはぐ感は増していき、比例して、観客のモヤモヤ感と可笑しさはつのっていく仕掛けとなっている。

 

 

チョコレートプラネットの考察2

 

チョコレートプラネットは、古典芸能のモノマネだったり、イッコウさんのモノマネだったりで、長田さん、松尾さん共にキャラクターが際だっている。

 

チョコレートプラネットは、両者がツッコミとボケの両方ができるのだが、その存在感を象徴するかのように、コントでときどき、どちらもがボケつづけるという、一種の新しい芸風が展開される。

 

これはチョコレートプラネットのキャラクターの勝利といえ、コント中のあらゆるネタ構成において、どちらのどんな言動も、変幻自在に流動していく。

 

キャラクターは、チョコレートプラネットの強みである、創造性を展開するのに一躍かっている。

 

松尾さんボケ主体のコントの場合、ある種の、哀愁と可笑しさが入り交じった世界観がうまれ、長田さんボケ主体の場合、おあずけ感と、切なさと笑いが生まれる。

 

それはチョコレートプラネットがチョコレートプラネットとして、活躍する王道パターンだ。

 

おあずけ感、切なさ、笑い、哀愁、のすべてがつまったのがゴルフネタである。

 

ゴルフネタの場合は、打ちたい松尾さんに、こだわりがつよいコーチ役の長田さんが、なかなか、゛自由゛にうたせてくれず、打つまでの動作の矯正が入りつづけ、観客はモヤモヤと笑いの両方を感じる。

 

観客は、チョコレートプラネットのコントからこれまでの人生から覚えた感情を想起し、おなじ状況になった場合を意識するだろう。

 

親父というコントでは、松尾さんがじぶんの親父のことで、悲しいことがあって、それを親友の長田さんに打ち明けるのだが、泣いていて、なにをいっているのかわからない。

 

想いが伝わらない松尾さんは苛立ちをつのらせ、長田さんは、内容への共感よりも、きちんと聞かねばならないという、プレッシャーを感じる。

 

チョコレートプラネットのネタには、その場合なにに重点をおけばよいのかを考えさせられる。

 

ボケの側にたち、じぶんたちの想起のボタンをはめこんでいくであろう部分は、作品事態に一種の即興的な感覚的アートを感じる。

 

非常に哲学的であり、トンチ的であり、理知的な要素を含んだ仕上がりなのだ。

 

ゆえにひとによって、さまざまな解釈ができ、ネタをみていて、わき上がる笑いの質が異なるという、不思議なことが起こる、親感覚コントだといえよう。

 

 

終わりに

 

チョコレートプラネットと、同時期に、年齢的にも近く、人気絶頂の゛はんにゃ゛をよくテレビでみていた。

 

よく動き、よくしゃべり、アクティブさ全快の芸風のはんにゃと、静かで、パズルのピースをはめこむように設計されたチョコレートプラネットの笑いは対照的だった。

 

ゆえに、その静かな存在感がかえって目立った。

 

チョコレートプラネットの笑いは、これまでも述べてきたが、想起する感情が十人十色だ。

 

いいかえれば、それほど、多くの人のあらゆる感情に呼び掛けるものがあり、観客の感心をひきこむクリエイティブな仕上がりとなっている。

 

その笑いは「イロモネア」などの、瞬発力を要求される場所において、生かされ、独自性で笑いをとっていく様は、天才的だった。

 

静かでありながら、彼らの存在感と知名度は、じょじょに浮上していった。

 

彼らの個性的なネタ゛ローマ゛や゛テニス゛などは、チョコレートプラネットならではの創造性と構成力がいかんなく発揮されている。

 

これからも、栗ご飯のような、切なくも、何度もおかわりしたくなるような、哲学的なコントを期待したい。

 

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